五十肩(肩関節周囲炎)

〇原因
肩関節を構成している骨、軟骨、腱が筋力や柔軟性の低下により炎症を起こしている状態。
老化や酷使することにより徐々に炎症が起こりやすい状態になっている為、負傷原因なしに突然症状が現れることも多いです。

〇症状
五十肩は進行に応じて症状が変化していきます。

●急性期(症状発症~約2週間)
夜中(睡眠中)に痛みが発症し、眠れないこともあります。
肩関節の動きが悪くなります。手を挙げたり後ろに動かしたりする時に痛みが出ることが多いです。
肩関節を安定させ動かす役割の腱が石灰化や断裂を起こしたり、肩関節の動きをよくする袋が癒着したりするとさらに動きが悪くなります。

●慢性期(~約6か月)
徐々に痛みが軽減し日常生活でも患肢をかばう必要がなくなりますが、可動域制限は残ります。

●回復期(~約1年間)
可動域制限がまだ残りますが、痛みが少ないため大きな機能障害の自覚はなくなり徐々に可動域が自然回復します。しかし平均約7年後にも半数の患者に何らかの痛みや可動域制限が存在していたとの報告があります。後遺症を残さないために自然治癒力に任せるだけでなく、積極的に痛みと可動域制限を改善する治療が必要です。

〇治療法
●急性期
痛みの強い時期は肩を上げる動作や荷物を持つなどの肩に負担のかかることは避け、安静を保つようにしましょう。 人によっては安静にしてても疼くくらいです。痛みが我慢できないほど酷い場合は対症療法(痛み止めの注射や湿布)を施すのに整形外科を受診するのをおすすめします。

●慢性期
痛みが弱まってきたら、肩関節の拘縮予防と可動域改善のために運動療法や手技療法などの治療を取り入れていきます。

●回復期
痛みはほとんどなくなりますが、慢性期の症状が残る場合もあるので治療は完治するまで継続することをお勧めします。

Q&A

Q. 肩が痛くて眠れません。どうしたらいいですか?
A.痛いほうの肩を上にして横向きに寝転がると楽に眠れる場合があります。また、背中に布団や座布団をあてて、肩をやや高い位置に保つと楽になることが多いです。痛みが強いときには痛み止めのお薬を飲む、貼るなどして痛みを取るとよいでしょう。

Q. 五十肩の痛みは放っておいても自然に治まるのですか?
A.五十肩になって何週間かは、肩を動かしてもじっとしていても激しい痛みを感じます。痛みが弱くなってから、肩が上がらない回せないなど、肩の動きが悪くなる時期があります。その後数ヵ月から数年の間に、自然に痛みと肩の動きの悪さは治まりますが、痛みをがまんして無理に動かすと余計に肩を痛めることがあります。また、動かさずにじっとしていると肩の動きがますます悪くなってしまうこともあります。自己判断せずお気軽にご相談ください。

Q. 運動を行った後すごく痛むのですが、続けてもよいですか?
A.運動後に痛んだら、どれくらいで痛みが治まるか様子をみてみましょう。翌日には元に戻る程度なら、運動の回数を急に増やさずに少しずつ続けましょう。運動した後に痛みが強くなったり、なかなか痛みが治まらないときには無理に続けてはいけません。また、運動する前に肩を温めたり、運動の後に冷やしたりするとよいのですが、なかなか改善しない場合はご相談ください。